リモートセンシング技術
を複合的に利用した
「地球の健康診断」。

土木工学科 朝香 智仁

リモートセンシング技術を複合的に利用した「地球の健康診断」。

土木工学科 朝香 智仁

地球観測衛星を利用した研究

一般的に、地球観測衛星には可視光波長から赤外波長までの様々な波長域で地表面を観測するセンサ(光学センサ)、またはマイクロ波を使って地表面の物理的な状態を把握するセンサ(合成開口レーダ)が搭載されています。宇宙航空研究開発機構(JAXA)が運用していた陸域観測技術衛星「だいち」(ALOS)にはそれらの両方が搭載されていて、2006年から2011年の間に全世界を約650万シーンにわたって撮像しました(http://www.jaxa.jp/press/2011/05/20110512_daichi_j.html)。図の左側はALOSの光学センサ(AVNIR-2)の画像、図の右側はALOSの合成開口レーダ(PALSAR)の画像の一例です。研究室ではこれらの画像を複合的に使用して、国土変遷の分析,山岳および海岸地形の解析、地盤変動量の評価などの研究をしています。

非破壊で地中を探る

地上で行う研究の一つに地中レーダ探査があります。地中レーダ探査によって、非破壊で地中の様子を画像化することができます。写真は公的機関の依頼を受けて、マツの樹勢が衰退している要因を調べるために地中レーダ探査を実施している様子です。研究室の学生と共に現地調査を行いました。

地域貢献を考える

日本大学生産工学部は船橋市と習志野市の境界に位置しています。研究室では地域貢献の一環として、習志野市内の小学校の協力を得て市内の気温分布を調査しています。小学校の百葉箱内に気温データロガーを設置させてもらい、1時間毎の気温を測定しています。動画は2014年7月25日の気温分布を空間情報として表現したものですが、熱環境の地域性について研究をしています。

生産工学は「効果的」に工学(公共の安全、健康、福祉のために有用な事物や快適な環境を構築することを目的とする学問)を推進させる学問と思います。現場をよく観察し、問題点の最適な解を考える研究は興趣がつきません。私の研究は直接的に「ものづくり」をしませんが、国土計画や地域の防災計画に資する効果的な空間情報を提供するため、これからも研究を行っていきます。

SEISAN LAB.の一覧に戻る

※リモートセンシング(Remote Sensing)とは、地球観測衛星などから地球環境を評価するための技術です。
広義には衛星に限らず、航空機・ドローン(無人航空機)を利用する場合や、地上で非接触・非破壊の調査も含まれます。