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令和3年度 生産工学部学科ガイダンス 学部長挨拶

2021.04.01 お知らせ

新入生の皆さん ご入学 誠におめでとうございます。

生産工学部の教職員を代表して心よりお祝いを申し上げます。特に学部入学の皆さんは、新型コロナ感染症を警戒しながらの高校での授業、そして入学試験の準備と大変不安だったと思います。戸惑いの多い一年を乗り越えて合格された皆さんの努力に改めて敬意を表します。

さて、皆さんには、日本大学に入学してはじめに覚えていただきたい言葉があります。それは「自主創造」という言葉です。「自主創造」とは「自ら考え、自ら学び、自ら道をひらく」という学びの姿勢です。
日本大学は、1889年に創設された日本法律学校、現在の法学部が前身で、本年で創設132年となります。創設に際して中心的な役割を果たしたのが、明治政府の初代司法大臣を務めた「山田顕義(やまだあきよし)」伯爵です。日本大学では、山田伯爵を学祖と呼んでいます。山田学祖は、欧米使節団の一員としての体験を基に、欧米の近代国家に肩を並べるためには先ず法律の整備が必要と考えました。ただ単に西欧の法律を導入するのではなく、日本の文化・伝統・慣習を活かした法律体系の整備が重要と考え、その法典の成立に尽力されました。日本の近代化のために何が必要で、何をすべきかを自ら考え、学び、自分自身で答えを見つけ出し、実行しました。正に「自主創造」を実践した人物です。
新入生の皆さんには、この山田学祖の教えを心に刻みながら学び、実り多い大学生活を送られることを希望しています。

今年は4月9日から授業がスタートとなりますが、第2クォーター終了の翌日から東京オリンピック・パラリンピックの開催が予定されています。新型コロナウイルス感染症の影響で、未だに実施できるかどうか予断を許さない状況です。また、経済活動を回復するためには、迅速なワクチン接種が望まれていますが、こちらも見通しが立っていません。このような社会状況からすると、多くの物事が少し停滞しているように感じられるかもしれません。しかし、実際は大きく動き始めようとしており、転換期前の沈黙であるとも考えることができます。

例えば、2015年、国連サミットで「持続可能な開発目標」(SDGs)が策定されました。貧困や格差拡大、そして気候変動など、世界が抱える様々な課題に対して取り組む世界共通の目標です。例えば、我が国では菅(すが)首相が昨年10月に、二酸化炭素(CO2)などの温室効果ガスの排出量を2050年までに実質ゼロにすると表明しました。その実現には水素の活用やCO2の回収・貯留・資源化などに向けた「革新的なイノベーション」が急がれます。 また、2018年に政府はスマート社会の形成を目指してSociety5.0を提唱しました。仮想空間の活用や地域間の格差を補うための通信技術実現に向けて、コロナ禍により変革の勢いが増しています。皆さんはそんな時代の転換期に入学を迎えられたのです。皆さんの前には、これらの課題に取り組み、解決に貢献できるチャンスは沢山あるということです。

では、そのような社会課題に対して貢献するためにはどんな能力を身につければよいのか?現代のように目的や価値軸自体が大きく変化する時代の転換期には、目的や価値そのものを創造する力が求められます。そのためには、『リベラルアーツと呼ばれる教養』それに加えて『考え抜く力』が必要です。役に立つだけでなく、その時代や人々の価値観に沿った意味のあるモノづくりができる能力を身に付けた人材が必要とされます。まさに「自主創造」が実践できるエンジニアです。皆さんは、失敗を恐れずにこれらの課題に「自主創造」の理念を持って、果敢に取り組んでほしいと思います。生産工学部では、これらの能力が身につく教育プログラムとなるように改革を続けています。
これから必要とされる人材となるために、今最も大切なのは模試での偏差値ではなく、これからの皆さんの取り組みとその集中力です。


さて、具体的な教育内容については各学科ガイダンスに譲ることにしますが、ここでは生産工学部の7つの「らしさ」をご紹介します。

一つ目は、『9つの専門分野・学科と7つの専攻課程・大学院』を備えること
二つ目は、『長期インターンシップも可能なクォーター制』の採用
三つ目は、『特徴ある4つの学科横断プログラム(4BE)』備えること
四つ目は、『考える力を養うリベラルアーツ教育』の実践
五つ目は、『実験施設も併設された木漏れ日あふれる郊外型キャンパス』
六つ目は、『身近にラウンジやゼミ室などの学生の居場所』があること
最後七つ目は、『生産実習を通して社会の「いま」を実体験』する仕組み

です。これらの7つの『らしさ』を「自主創造」の精神で是非活用して下さい。きっと自分の武器を創ることができるはずです。どれを活かすかは皆さん独自の選択と実践です。この仕組みが生産工学部独自の教育フレームと言えます。加えて、このような教育環境を運用する教職員は、学生の皆さん一人一人と向き合って、時には厳しく、そして優しく、きめ細かい教育指導を行っており、「学生と教職員の距離感が近い」と自負しております。

新入生の皆さんには、社会の一員としての自覚と目的意識を持って、先生や友人との交流を深め、大いに勉学に励むと共に、サークル活動や地域活動に参加するなどして、充実した、そしてワクワクした学生生活を送られることを祈念致します。

最後に、大学院博士前期課程および後期課程に入学された皆様には、研究に対して主体的・積極的に取り組み、その成果を国内外に発信し、高い評価が得られるよう努力され、充実した研究・学生生活を送られることを祈念して、私の挨拶と致します。
ご入学おめでとうございます。


令和三年四月一日
日本大学生産工学部長
日本大学大学院生産工学研究科長 清水 正一