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日本大学生産工学部(NU)・ミシシッピ州立大学(MSU) 建築・アート・デザイン研修旅行Ⅰ【建築編】

2019.04.26 お知らせ

ミシシッピ州といってイメージするものといえば…ワニ?それともミシシッピ川?
2019年3月1日、南部アメリカの大学町「スタークビル」へ向けて、土木・建築・創生デザインを専門とする19人の学生たちが研修へと旅立った。

 

成田を出発した飛行機の最初の目的地はダラスのフォートワース空港。少し早めに到着したので、「フォートワース・ウォーター・ガーデン」(1974年 フィリップ・ジョンソン+ジョン・バーギー)(写真1)に寄ってみることに。これが大作。偶然出会った、「これぞアメリカ!」規模の都市公園に一同感激。迷わず人工の滝つぼへ走り出す。飛行機でなまった体をここで十分リフレッシュし、本来の目的地「フォートワース現代美術館」(2002年・安藤忠雄設計)に向かう。エントランスは何ともない建物だが、中に入ると迷路のような空間が広がる。裏が表になり、表が裏になるような展示空間に翻弄されながら、あまたの現代アートを堪能(写真2)した。日本人アーティスト村上隆の絵画「お花」がロビーで出迎えてくれたのも嬉しい(写真3)。

 
(写真1)
(写真2)
(写真3)
 

続いて、今回の建築研修の一番の見どころ「キンベル美術館」(1972年 ルイス・I・カーン、2013年 レンゾ・ピアノ)へ。建築家を目指すものなら一度は訪れたいルイス・カーンの代表作だ(写真4・写真5)。
駐車場側からアクセスすると、まずキンベル美術館完成に至るまでの工程の展示を見ることができる。ここで少し建築の勉強をしてから階段を上っていくと、たどり着くのが“あの”光の空間。天井中心スリットから入る光の反射によって天井全体が銀色に輝き、空間をやさしく包み込む。埴輪や松尾芭蕉の掛け軸、モジリアーニの彫刻やモンドリアンの絵画、すべてが許容される贅沢でシンプルな空間である。一方、カーンの建築に対峙しているレンゾ・ピアノによるギャラリー(写真6・写真7)は、カーン建築のボリュームやリズムを引き継ぎつつも、まったく異なる緩急をつけた空間構成になっている。カーンに敬意を表しながら作り上げたレンゾ・ピアノの力量がうかがえる。

 
(写真4)
(写真5)
(写真6)
(写真7)
 
(写真8)

本来はここまででフォートワース空港に戻るはずだったが、メンフィス行きの飛行機が2時間ほど遅れるとの情報が入り、カウボーイが闊歩するという「ストックヤード・ステーション」(写真8)へ。日本でいう日光江戸村のような施設だが、観光客自体がカウボーイのいでたちで楽しんでいるのが日本と違うところ。一日が36時間と長い初日。眠い目をこすりつつ、テキサス州フォートワース市のシンボル“テキサスロングホーン”という牛に挨拶をしてアメリカの雰囲気を味わう。

 

やっとの思いでたどり着いたメンフィス。最初の夜は寝るだけ。次の日は朝から元気に町の観光。エルヴィス・プレスリー(写真9)の大ファンでメンフィスまで来てしまったというガイドの庸子さんと「国立公民権博物館」となっているロレインモーテル(写真10)で待ち合わせ。マーチン・ルーサー・キング牧師の最後の演説と最後の日の話を聞き、治安が心配と大通りを歩く。アジア人22人の団体はさすがに町では目立つ。夜に賑わうビールストリート(Beale St.)を闊歩しながら、ダッグマーチで有名な「ピーボディホテル(Peabody Hotel)」へ。ホテルはアヒルたちの行進を今か今かと待っている観光客でいっぱいだった。町ではほとんど人を見かけなかったから、こんなに人がいたのかと驚く。あっという間にショーが終わってしまってあっけにとられたが、そろそろお腹も空いてきたので、ザ・アメリカのランチを食べに「Central BBQ」(写真11)へ。生演奏付きのランチを堪能した後は、腹ごなしを兼ねてミシシッピ川沿いの観光案内所まで、エルヴィスとBBキングの銅像に会いに行くことに。 時間がないというのに、途中のアスレチック遊具で遊ぶ学生たち。どこまで行っても元気がよい。

(写真10)
(写真9)
(写真11)
 

メンフィス観光を十分楽しんだ後、MSUの卒業生が所長を務めるアーキマニア設計事務所を見学(写真12)。アメリカ全土第8位に入る設計事務所とのことで、扱っている作品もダンスホールから住宅まで幅広い。事務所を見学させていただいた後は、実際の作品を見に改めてメンフィスの街を歩きながら、住宅作品を中心に建築材料の使用や空間構成、サスティナブルへのこだわりについて説明を受けた(写真13)。夜はホテル近くで各自食事をとり、就寝。

(写真12)
(写真13)
 
(写真14)

翌朝は少しゆっくり。バスでメンフィスからスタークビルへ移動。スタークビルのホテル到着後すぐにMSUの学生たちが待つレストラン「ブルドックバーガー」へ。前夜祭となる学生交流。最初は緊張しながらもすぐに打ち解ける学生たち(写真14)。

いよいよ明日(月曜日)からMSUでの研修が始まる。