日本大学生産工学部 研究報告B(文系)第52巻
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─ 3 ─幅な変更が行われることはなかった。具体的には,教科書については従来通り,各担当教員が各クラスの実情に合わせて個別に選定し,学部全体で共通の教科書を使用するということはなかった。同様に,各クォーターにおける成績評価も,各クラスの目標や受講生の習熟度に合わせて個別に行われた。履修クラスは従来通りプレイスメントテストの成績によって分けられ,クラス編成に変更はなかった。クォーター制下における年4回の成績評価に関し,セメスター制からの最大の変更点として,同一科目を担当する2名の教員の配点を50点ずつとし,最終成績を両者の合計で算出したことが挙げられる。これは,複数教員が多様な観点から各学生を評価することで,より公正な評定結果が期待できると考えられたからである。ただし2名の評価がかけ離れていると英語科目コーディネーターが判断した場合,各教員への聞き取り調査を経て再評価を行った。2018年度からは1年生から4年生まで,すべての在学生にクォーター制度が適用された。これにより,英語必修基盤科目については2年次のPractical English III/III(S)およびPractical English IV/IV(S)が新しい形態で運用されることになった。具体的には週1回,半期ずつ行われていた両科目が,4クォーターのうち2クォーターで週2回行われることとなった。先に述べた通り,このような運用形態の場合,1年間を通して英語に触れる機会のあった学生が,半年しか英語に触れられなくなるという懸念がある。これと合わせて,1年間を通して2名の教員が同一クラスを担当できる体制が崩れたため,各クォーターで指導すべき内容や評価方法を統一する必要性が科内から指摘されるようになった。したがって2018年度からは共通シラバスに基づく英語必修基盤科目の運用が本格的に導入された。具体的には各科目の目標を共通に定め,共通教科書を導入することで指導内容にクラス間で差異が生まれないようにした。使用した教科書は以下の通りである。- Practical English IA/IA(S):Four Corners Level 1 Studentʼs Book with Self-study CD-ROM- Practical English IB/IB(S):Four Corners Level 1 Studentʼs Book with Self-study CD-ROM- Practical English IIA/IIA(S):Four Corners Level 2 Studentʼs Book with Self-study CD-ROM- Practical English IIB/IIB(S):Four Corners Level 2 Studentʼs Book with Self-study CD-ROM- Practical English III/III(S):New Headway 4/E Pre-Intermediate Student Book iTutor Pack- Practical English IV/IV(S):New Headway 4/E Pre-Intermediate Student Book iTutor PackFour CornersシリーズはCambridge University Pressから出版されているELT教材である。Level 1とLevel 2はヨーロッパ言語共通参照枠におけるA1とA2(基礎段階の言語使用者レベルの学習者)向けに作成されている。各Unitは4つのレッスンから成り,Grammar, Vocabulary, Functional language, Listening and pronunciation, Reading and writing, Speakingというシークエンスで構成されている。トピックは日常生活から仕事に応用できるものまで幅広く取り入れられており,4技能を中心とした活動を通して基礎的な英語表現を学ぶことが可能になっている。特に,各Unitに取り組むことで,英語を使って何をできるようになるのかがCAN-DOリストの形式で示されているため,授業を行う側も受ける側も目的意識をもって各言語活動に取り組むことが期待された。New HeadwayシリーズはOxford University Pressから出版されているELT教材である。採用したPre-intermediateはヨーロッパ言語共通参照枠におけるA2−B1(自立した言語使用者および習得段階の言語使用者)レベルの学習者向けに作成されている。各UnitはGrammar, Everyday English, Reading, Listening, Speaking, Writingのシークエンスで構成され,文法シラバスを中心としつつも技能統合型の言語活動が多数配置されている。Four Corners Level 1やLevel 2よりも扱われている題材や英語そのものが高度化されており,専門科目への橋渡しや社会に出て役立つ英語の学習が見込まれた。ただし各教材の使用法としては,上記すべての要素を網羅的に教授するのではなく,学生の習熟度等を鑑み,各教員の裁量で扱う部分を選定して授業を行うこととした。3種の教科書を用いるクラスについては,いずれも1クォーターに6つのUnitを扱うよう授業計画を作成した。具体的には,表3に示す通り,片方の担当教員が奇数Unitを,もう片方の担当教員が偶数Unitを扱うようにした。例えば,あるクォーターでUnit 1からUnit 6を扱った場合,次のクォーターでは同一教科書のUnit 7からUnit 12を扱うような計画であった。成績はクォーター毎に各教員がコーディネーターに提出し,コーディネーターがそれらを取りまとめて担当部署へ提出した。2017年度のクォーター制科目と同様に2名の教員がそれぞれの観点で50点満点の成績評価を行い,その合計値を最終成績とした。先に述べた通り,2名の評価がかけ離れている場合は担当教員への聞き取り調査をもとに再評価を行っている。なお,入学者定員の増加に伴い,機械工学科および建築工学科にそれぞれ1クラスが増設された結果,クラスサイズが平均40名~50名となり,過年度に比べ各クラスの受講者数は減少した。

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