日本大学生産工学部研究報告A(理工系)第53巻第2号
5/24

─ 3 ─ルスカラー合成画像)を示す(画像の範囲はFig.1に示す緑の矩形領域)。3月の画像には演習林および農場南部(Fig.2,都市型農業研究地区)と農場北部(Fig.2,耕地教育研究地区)のスペクトル特性にバンド8で大きな違いが認められ(Fig.4(a)),農作物の栽培が一部で行われていない状況も見て取れる。しかし,8月の画像では農場南部と北部でスペクトル特性が類似しており(Fig.4(b)),農作物の栽培が行われているものと思われる11)。Fig.5は3月および8月のLandsat-8/TIRが観測した地表面温度分布画像(高温部を暖色系の,低温部を寒色系の色でレベルスライス表示)である。図中のカラーチャートに示す温度はLandsat-8画像データと共に配布される輝度温度への変換式により求めた。東大農場(Fig.5右上の画像は白枠内の東大農場域を抽出したもの)において3月では演習林(A)と農場(B)では大きな温度差が認められるが,8月ではその差は低減している。また,農場の北部と南部では,3月は北部の地表面温度が高く観測されているが,8月は両者の間に大きな差は認められない12)。東大農場は北部を耕地教育研究地区,南部を都市型農業研究地区として利用している(Fig.2)ことから時季により土地被覆が異なるものと考えられる。小規模な農地である生産緑地はLandsat熱画像の観測では地上分解能が十分ではない。しかし,周囲の観測値と比較して低減効果が現れていることを確認可能であると考えられる。可視・近赤外データを使って自動分類(クラスタリング)処理を行った結果をFig.6に示す。Fig.6(a),(b)各左側の画像は初期クラス数20で分類処理した結果を20色で表示したものである。東大農場内の農地には代表的な特徴を持つ主要4クラスが認められた。Fig.6(a),(b)各右側の画像は主要4クラスの分布を示したものである。東大農場の利用状況を照合し,類似した特徴を持つグループ,例えば野菜や果実等の特徴をもつクラスを生産緑地毎に確認することで,その分布状況を知ることが可能と思われる。Figs. 5(a), (b) Colored images of the earth surface temperature at Tanashi Farm observed by Landsat-8/TIR on March 20, 2017 (a) and August 14, 2018 (b).Figs. 4(a), (b) Spectral features of each area, forest(blue), northern farm(orange) and southern farm(gray), observed by Sentinel-2 on March 19, 2017 (a) and August 1, 2018 (b)

元のページ  ../index.html#5

このブックを見る