日本大学生産工学部研究報告A(理工系)第53巻第2号
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─ 14 ─測定条件は,加速電圧15kV,ピクセルサイズは1μm間隔で,3つの視野の中心部150×150μmの領域について分析した。この結果による面分析によりCaO/SiO2比を計算し,C-S-H組成に関する検討を行った。3.実験結果3.1 圧縮強度試に関する検討結果Table 3およびFig. 2にシリカフューム添加率毎のオートクレーブ養生時間と圧縮強度の関係を示す。まず,一般的な養生時間3時間の場合は,シリカフュームの添加率が0%,5%,10%それぞれで,129.2 N/mm2,134.7 N/mm2,142.1N/mm2とシリカフュームの添加率が高いほど圧縮強度は高くなった。次に,養生時間が10時間で圧縮強度が急激に増加し,養生時間3時間の場合を1.00とする圧縮強度比は約1.20であった。その後,圧縮強度は緩やかに増加し,養生時間が200時間の場合,どのシリカフューム添加率の場合においても,圧縮強度比は1.30まで増加する傾向が認められた。しかし,これ以降はシリカフューム添加率の違いによって異なる傾向を示し,シリカフュームを添加していない0%の場合と添加率5%の場合は,養生時間が200時間以降も圧縮強度は増加し,養生時間300時間で最高強度となり,シリカフューム添加率が0%,5%でそれぞれ170.0 N/mm2,186.8 N/mm2となった。そして養生時間500時間においては,どちらのシリカフューム添加率の場合も圧縮強度は減少し,それぞれ146.5 N/mm2,177.7 N/mm2まで低下した。これに対し,シリカフューム添加率が10%の場合,シリカフュームの添加率が0%,5%の場合と異なり,養生時間200時間の185.1 N/mm2が最高圧縮強度となり,養生時間300時間で173.0 N/mm2,養生時間500時間で161.4 N/mm2と圧縮強度は低下していった。これらの結果は,Fig. 3に示すオートクレーブ養生時間終了時(3~500時間)までの積算温度と圧縮強度比の関係においても,シリカフューム添加率に関わらずオートクレーブ養生が200時間までは同じ挙動を示しているのに対し,養生時間300時間でその傾向は大きく異なることを示した。3.2 細孔空隙に関する検討結果Fig. 4,Fig. 5およびFig. 6に細孔空隙測定の結果を示す。ここで,本研究における細孔空隙に関する定義は,これまでの研究成果7),8),9)において,再現性を含み得られた現象の傾向を良く表していることから,これまでと同様に既往の報告18),19),20)の定義に基づくものとした。具体的には,3-6nmの範囲はC-S-Hの層間に生成されるゲル空隙量,6-50nmの範囲はセメントマトリックスに生成される毛細管空隙量とし,その他粗大な空隙と定義した。まず,シリカフュームを添加していない0%の場合,極端な圧縮強度の増加が認められた養生時間10時間で全空隙量が減少し,特に10-50nmの空隙量の減少が顕著であった。この傾向は,養生時間が50時間まで同様の傾向を示したが,養生時間が100時間以降は養生時間の増加に伴い,3-6nmのゲル空隙量が徐々に増加する傾向がTable 3 Strength developmenth valueCuring time(hrs.)Compressive strength(N/mm2)SF0%SF5%SF10%3129.2(1.00)134.7(1.00)142.1(1.00)10151.4(1.17)161.7(1.20)171.6(1.21)50156.1(1.21)165.4(1.23)175.7(1.24)100162.8(1.26)169.6(1.26)177.4(1.25)200169.3(1.31)176.0(1.31)185.1(1.30)300170.0(1.32)186.8(1.39)173.0(1.22)500146.5(1.13)177.7(1.32)161.4(1.14)( ):Compared with the compression strength when making one in case of care for 3 hours 1.00Fig. 2 Relationships between autoclave curing temperature and compressive strengthCompressive strength (N/mm2) Curing time (hrs.) Fig. 3 Relationships between Maturity and compressive strength valueCompressive strength value Maturity (°Chrs.)

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