日本大学生産工学部研究報告A(理工系)第53巻第2号
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─ 13 ─り混ぜは,混合性を考慮して珪砂を分割して投入し混合している。すなわち,約半分の量の珪砂,セメント,珪石微粉末,シリカフューム,そして残りの珪砂の順に投入し,低速で30秒間撹拌した後に注水し,60秒間低速で練り混ぜた。その後,掻き落しを行い,高速で180秒間練り混ぜた。型枠はφ50×100mmのサミット缶を使用し,JSCE-G50513)に準拠した円柱供試体を作製した。次に,セメントペースト硬化体の場合は,モルタル硬化体の場合と同様に練混ぜ,20×20×20mmの鋼製型枠を用いて立方供試体を作製した。2.3 養生条件各種養生における温度勾配をFig. 1に示す。練り混ぜ後,脱型前に行う前置き養生は,20°Cの環境室内で72時間の湿空養生を4)行った。次に,小型環境試験機(S社製:SU-221)を用いて昇温・降温速度を20°C/hとした65°C-4時間の常圧蒸気養生を実施し,その後,脱型を行った。オートクレーブ養生は電気式(T社製:NU型,圧力容器式,耐圧1.5MPa)のオートクレーブ装置を用いた。養生温度は,従来法の180°C-1MPaの1水準とし,オートクレーブ養生時間は一般的な3時間に加え,10時間,50時間,100時間,200時間,300時間,500時間の合計7水準で検討を行った。なお,供試体は自然放冷後に取り出したが,これらの工程は,前置き養生時間ならびに長時間のオートクレーブ養生時間を除き,実製造工程15)に準拠したものである。2.4 試験方法2.4.1 圧縮強度試験圧縮強度試験は,JIS A 1108「コンクリートの圧縮強度試験方法」16)に準拠しφ50×100mmのモルタル供試体を用いて試験を行った。試験は,各オートクレーブ養生後に端面を研磨した後,載荷速度を0.4N/mm2とし,3点の平均値として求めた。2.4.2 細孔空隙測定セメント硬化体の細孔空隙は,水和反応によって生成される水和物と密接に関わり,強度発現性にも関係する。そこで,細孔直径測定範囲が100μm〜3nm(水銀圧力0.1〜400MPa)の水銀圧入式ポロシメータによる細孔空隙測定を行った。測定試料は,オートクレーブ養生後のφ50×100mmのモルタル供試体からダイヤモンドカッターで切り出し,直ちにアセトン浸漬,ならびにD乾燥によって水和を停止17)した約3〜5mmの細粒試料を用いた。2.4.3 粉末X線回折前述1.で述べたオートクレーブ養生によるセメント硬化体の強度発現に大きく寄与するとされている11Å Tobermoriteの生成は,CuKα線による粉末X線回折により確認した。測定条件は,走査範囲5〜60°で走査速度2°/min.とし,20×20×20mm のセメントペースト供試体からダイヤモンドカッターを用いて約3〜5mmの細粒試料を切り出し,細孔空隙測定と同様水和を停止した後,めのう乳鉢で粉末としたものである。2.4.4 EPMAによるC-S-H組成水和物の組成分析は,EPMAにより行った。20mm×20mm×20mmのセメントペースト供試体を用いて,各養生時間のオートクレーブ養生を実施した後,硬化体表面を含まないように注意しながら,約5mm角の試験片をダイヤモンドカッターで切り出した。そして,新しく得られた面が測定面となるようにエポキシ樹脂で含浸し硬化させ,表面を鏡面状に研磨した後,導電性を目的として研磨面に炭素を蒸着したものを用いた。Table 2 Composition of pasteW/C(%)Percentage of added Silica fume(%)(kg/m3)WaterCementSilica fumeQuartz powderWCSFQ30039013000.0528.3565.0453.010130.0377.9Fig.1 Curing condition of hardened mortar//Curing temperature (°C) Curing time(hrs.) Rate of temperature rise:80°C/h Temperature-fall speed: Natural air cooling

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