日本大学生産工学部研究報告A(理工系)第52巻第2号
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─ 22 ─ℋp,ℋcのテンソル空間上ℋp⊗ℋcで定義される。空間ℋpは正規直交基底|∈:〉xxpZで張られる空間,空間ℋcは正規直交基底|,0〉c|1〉cで張られる空間である。時刻t(=0, 1, 2,...)における場所xのウォーカーの状態を|∈〉(x)ψtcℋとすると,時刻tにおける量子ウォークのシステムは|〉xpZ|∈〉=⊗ΨΣtx|〉(x)ψtと記述される。ウォーカーの時間発展は, |〉=~~Ψt+1|〉(t=0 mod 3)(θ)ΨtSC~~|〉(t=1 mod 3),(θ)01ΨtSC~|〉(t=2 mod 3)ΨtS⑴に従う。ここで, ||〉xp〈xpZ∈⊗ΣxU~(θ)=(θ),C⑵ U(θ)=cosθ│0〉c〈0│c+sinθ│0〉c〈1│c +sinθ│1〉c〈0│c−cosθ│1〉c〈1│c,    ⑶ ||〉xp〈xp|〈0cZ∈⊗Σx~=-1〉p1++|〉c0|〈x|xp|〈1c,⊗|〉c1S⑷である。但し,θ∈[0, 2π)とする。さらに,〈Ψ0│Ψ0〉=1のもと,ウォーカーが時刻tで場所xに観測される確率を 〉,t|〈0cP(X =x)()|〉c0|〈1c|〉c1|⊗+=〈Ψt|Ψt||〉xp〈xp⑸で定義する。ここで,Xtは時刻tにおけるウォーカーの位置を表す確率変数である。また,初期状態は, │α│2+│β│2=1を満たす複素数α,βを用いて,│Ψ0〉= │0〉p⊗(α│0〉c+β│1〉c)とする。3.極限定理パラメタがθ0=θ1(=θとおく)を満たすときは,Grünbaum and Machida1)によって,長時間極限定理が得られている。定理1(Grünbaum and Machida (2015))∈/0, π/2, π, 3π/2θとする。実数xに対して,確率変数X3t/3tの分布収束 ≦X3txx3tlimt→∞-∞P(α,β;y)f(y)I(y)1-=1ν(α,β;-y)f(-y)I(y)dy,1++2ν⑹を得る。ここで, f(x)=22,│s││s│x+D(x)π(1-x )W (x)W (x)+-D(x)⑺ (α,β; x)=ν12(│α││β│ )-¯D(x),c(1+8c )3229cs2(│α││β│ )-c│s│(1+8c )22cs(1+6c )x(αβ)2+3s¯(1+2c )(αβ)2-+ℜℜ⑻ D(x)=1+8c2-9c2x2,⑼ 222=-(1-4c )+3(1-2c )xD(x),+2│s│xW (x)+⑽ 222=1+8c -3(1+2c )xD(x),-2│s│xW (x)-⑾ =<x<∈:,x1R221-4c331+8c⑿ ,=--<x<∈:x2R21-4c3231+8c⒀ =,I(x)A1(x A)∈0(x A)∈/⒁である。但し,c, sはそれぞれcosθ,sinθを,ℜ(z)は複素数zの実部を意味する。極限密度関数が,定義関数I1(x),I2(x)を含むため,量子ウォークの確率分布にギャップ構造が生じることがわかる。一方,この極限定理以前に報告されている時刻に依存しない量子ウォーク,2周期時刻依存型量子ウォークの極限分布にギャップ構造は生じない。4.証  明定理1はフーリエ解析で証明することができる。量子ウォークのフーリエ変換を,│ψˆt(k)〉=∑x∈ e-ikx│ψt(x)〉 (k∈[-π,π))と定義すると,フーリエ変換の時間発展は,式⑴から, =(k)〉,R(k)U(θ)|ψ^t+1(k)〉|ψ^t(t=0, 1 mod 3)R(k)(k)〉|ψ^t(t=2 mod 3)⒂となる。但し,R(k)=eik│0〉c〈0│c+e−ik│1〉c〈1│cである。式⒂より,フーリエ変換の初期状態│ψˆ0(k)〉=α│0〉c+β│1〉cとの関係式 (k)〉|ψ^3t(k)〉,|ψ^0=2tR(k)(R(k)U)⒃

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