日本大学生産工学部研究報告A(理工系)第52巻第2号
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─ 18 ─にひび割れが集中することなく測定区間全体にひび割れが分散する傾向が認められた。4.結  論ビニロン繊維による補強効果を期待し,低品質再生骨材を用いた場所打ちコンクリート杭の圧縮強度について実験的に検討を行った結果,本実験の範囲内で以下に示す知見が得られた。1)荷重-変位曲線は同一シリーズのコンクリートを比較するとビニロン繊維の添加の有無による剛性の差異は認められなかった。最大荷重はビニロン繊維を添加した試験体は若干上昇する傾向が認められた。2)低品質再生骨材コンクリートの試験体は普通コンクリートの試験体と比較しヤング係数が小さいことに起因し剛性が低くなる傾向が認められた。3)計算値Pcal.と実験値Pmax.を比較すると,すべての試験体において実験値は計算値を下回る結果となり,試験体のコンクリートの圧縮強度の強度発現の不十分さが推測された。4)コンクリートの種類によらず同様の最終破壊性状が認められた。一方,ビニロン繊維を添加した試験体はひび割れの発生が測定区間全体に分散する傾向が認められた。本研究ではコンクリートの圧縮強度の差のため低品質再生骨材コンクリートの試験体の圧縮強度は普通コンクリートの試験体と比較し低下する傾向があったが,実験値と計算値との差は両コンクリートとも同等であった。またビニロン繊維による補強効果の発揮は最大荷重が若干上昇する程度で僅かであったが,最大荷重以降は荷重を維持して靭性のある履歴が認められた。現在長期保存中の試験体があるので乾燥収縮率の改善効果とともに材齢にともなう圧縮強度の増加などについて引き続き検討を行いたい。謝辞本研究は平成29-31年度文部科学省科学研究費補助金(基盤研究(C),課題番号17K06656,代表者:師橋憲貴)の助成を受けたものである。本研究の低品質再生骨材コンクリートに関しては東京建設廃材処理協同組合 葛西再生コンクリート工場をはじめ,混和剤メーカーの株式会社フローリックにご協力を頂きました。関係各位に記して感謝の意を表します。参考文献1)経済産業省製造産業局素材産業課:平成30年 砕石等統計年報,2019年4月2)(財)日本規格協会:JIS A 5022 再生骨材コンクリートM,2018.5.21改正3)日本建築学会:再生骨材を用いるコンクリートの設計・製造・施工指針(案),2014.104)国土交通省国土技術政策総合研究所・国立研究開発法人建築研究所監修:2015年版 建築物の構造関係技術基準解説書,2015.10(R1.6.3受理)

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