日本大学生産工学部研究報告A(理工系)第52巻第2号
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─ 12 ─たことから,日本建築学会から平成26年に発行された「再生骨材を用いるコンクリートの設計・製造・施工指針(案)」3)(以下,指針(案)という)に示される特殊配慮品の低品質再生骨材の混合割合の上限値である低品質再生粗骨材を30%と低品質再生細骨材を15%併用したCL, CLVシリーズと称する低品質再生骨材コンクリートを使用した。CL, CLVシリーズと比較するため,普通骨材を用いたコンクリート(以下,普通コンクリートという)のCN, CNVシリーズを計画した。それぞれのシリーズにはビニロン繊維vol1%を添加した試験体と添加していない試験体を計画し,ビニロン繊維の添加の有無の影響について検討を行った。Fig. 1に試験体形状を示す。試験体の寸法は高さ900mm,断面の直径300mm,かぶりコンクリートの厚さ25mmである。せん断補強筋(以下,フープという)はフラッシュバット溶接を用いた閉鎖型で最外径(直径)は250mmである。主筋はD13を9本配筋し,フープはD10を使用した。フラッシュバット溶接の位置は主筋と主筋の間に配置した。測定区間のフープ間隔は100mmとした。2.2 コンクリートの使用材料および調合Table 2に使用した骨材の特性を,Table 3にコンクリートの調合を示す。指針(案)に示される低品質再生骨材コンクリートの設計基準強度は18N/mm2を標準としていることから,実験時のコンクリート強度はあまり高くならないようコンクリートの圧縮強度σBが21N/mm2程度となるような水セメント比(W/C)を再生骨材コンクリート工場の出荷実績により決定し,CL, CLVシリーズはW/C=65.0%とした。コンクリートの打設は,試験体上部から打ち込み,また,コンクリートが鉄筋の周囲や型枠の隅まで充填されるようバイブレーターを用いて締固めを行った。型枠には紙管(ボイド)を用いた。再生骨材は,コンクリート塊をジョークラッシャーで一次破砕し分級して,コンペラブレーカーで二次破砕して製造された吸水率5.06%の再生粗骨材および吸水率11.22%の再生細骨材を使用した。本実験で使用したビニロン繊維は,ポリビニルアルコールを原料として得られた合成繊維である。ビニロン繊維の形状は,直径660μ,標準長30mmをコンクリートの全体積に対して1.0%添加した。添加量はトラックアジテータのコンクリート投入口(ホッパ)から後添加した際にビニロン繊維の均一な分散が可能となる量に設定した。Fig. 2にコンクリートの圧縮強度の推移を示す。圧縮強度を測定した円柱供試体は現場封かん養生とした。普通コンクリートの工場の出荷実績で決定した水セメント比(W/C)は低品質再生骨材コンクリートのW/Cより高く設定したが,普通コンクリートのCN, CNVシリーズは低品質再生骨材コンクリートのCL, CLVシリーズと比較して圧縮強度が増加した。普通コンクリートおよTable 1 Details of specimensSpecimenSeries and aggregate usedVinylon ber mix rate (vol%)1) CNCN, CNV SeriesNormal coarse aggregateRecycled coarse aggregateNormal ne aggregateRecycled ne aggregate100%0%100%0%0.02) CNV1.03) CLCL, CLV SeriesNormal coarse aggregateRecycled coarse aggregateNormal ne aggregateRecycled ne aggregate70%30%85%15%0.04) CLV1.0505050100100100100100100505050D13D10150150600900[mm]D13D10NSEW300250Fig. 1 Shape of specimen

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