日本大学生産工学部研究報告A(理工系)第52巻第2号
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─ 11 ─1.序  論経済産業省製造産業局素材産業課の平成30年砕石等統計年報1)によると,平成29年度の砕石の出荷量は168,787千トンに対し,再生骨材の出荷量は18,197千トンとなっており再生骨材の出荷量は砕石の1割程度で大変少ない。また再生骨材の出荷量のうち道路用は18,084千トンに対し,コンクリート用は113千トンとなっておりコンクリート用の出荷量は道路用の0.62%で出荷量としては非常に少ない。砕石は天然資源である岩石を砕いて製造されるが,天然資源の枯渇の観点から低い品質の再生骨材であっても普通骨材と混合利用することで構造用部材に用いるコンクリート用として適用が可能となれば,再生骨材の普及につながり天然資源の維持に貢献できるものと考える。中品質の再生骨材を対象とした再生骨材コンクリートMは,再生骨材の吸水率が高い性質を考慮して乾燥収縮を受けにくい地下構造部材などに用途が制限されているが,平成30年のJIS改正では,再生骨材コンクリートM2)の中に低品質の再生骨材Lと普通骨材とを混合したものも認められるようになっている。そこで本論文では,地下構造部材となる場所打ち杭に再生骨材Lを用いたコンクリート(以下,低品質再生骨材コンクリートという)を使用し,さらに構造耐力上の補強効果を期待してビニロン繊維を添加した円柱試験体(以下,試験体という)の軸力方向の載荷試験を行い,圧縮強度について検討を行ったものである。場所打ち杭は,地震時に主にせん断破壊となる破壊形式が想定されるが,本論文では場所打ち杭の基礎的研究としてコンクリートの種類が異なる場合の軸力方向の載荷試験における圧縮強度についてコンクリートの種類による差異が生じるかを検討した。2.実験概要2.1 試験体計画および形状Table 1に試験体詳細を示す。本実験は,1.序論で述べた平成30年のJIS改正よりも前に計画を行ってい論  文日本大学生産工学部研究報告A2019年 12 月 第 52 巻 第 2 号ビニロン繊維による補強効果を期待した低品質再生骨材を 用いる場所打ちコンクリート杭の圧縮強度に関する実験的研究秋間大志*,師橋憲貴**An Experimental Study on the Compressive Strength of Cast-in-place Pile using Low Quality Recycled Aggregate Concrete with Vinylon Fiber in Anticipation as ReinforcementTaishi AKIMA*,Noritaka MOROHASHI**Compressive strength of cast-in-place pile using low quality recycled aggregate concrete with vinylon ber was examined. As the result, the compressive strength of the cast-in-pile was slighty increased by the vinylon ver under axial loading test. No defference was obserbed in both nal fracture behavior of the cast-in-pile by the different types of concrete. On the otherhand, occurrence of cracks in cast-in-place using vinylon ber dispersed.Keywords:Low Quality Recycled Aggregate Concrete, Compressive Strength, Vinylon Fiber, Yield Strain *日本大学大学院生産工学研究科博士前期課程建築工学専攻2年**日本大学生産工学部建築工学科教授

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