日本大学生産工学部 研究報告A(理工系)第52巻第1号
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─ 39 ─棟の居住者は階層が下がるほど認知領域の広がりがみられる(Fig.5の①-a)。b.身近な水辺(中域):住棟と分離した領域として認知され,認知領域の立体構成は,中層・高層・超高層住棟の1F~6Fにおいて,中層住棟の居住者は階層が下がるほど認知領域の広がりがみられる。それに反して,高層・超高層住棟の居住者は階層が上がるほど認知領域の広がりがみられる。高層・超高層住棟の7F~22Fにおいて,高層住棟の居住者は階層が下がるほど認知領域の広がりがみられる。それに反して,超高層住棟の居住者は階層が上がるほど認知領域の広がりがみられる (Fig.5の①-b)。②.社会環境とのつながり(c.わたしのまち,d.行動範囲,e.にぎわい)c.わたしのまち(広域):認知領域の立体構成について,1F~6Fにおいて,中層・高層・超高層住棟は同様の広がりがみられる。高層・超高層住棟の7F~22Fにおいても高層・超高層住棟は同様の広がりがみられる (Fig.5の②-c)。d.行動範囲(広域):「行動範囲」の立体構成について,中層・高層・超高層住棟の1F~6Fにおいて,中層住棟の居住者は階層が下がるほど「行動範囲」の広がりがみられる。それに反して,高層・超高層住棟の居住者は階層が上がるほど「行動範囲」の広がりがみられる。高層・超高層住棟の7F~22Fにおいて,高層・超高層住棟の居住者は階層が下がるほど「行動範囲」の広がりがみられる (Fig.5の②-d)。e.にぎわい(狭域):他の「社会環境とのつながり」の内,最も狭い領域を形成している。認知領域の立体的な構成は,中層・高層・超高層住棟の1F~6Fにおいて,中層住棟の居住者は階層が下がるほど認知領域の広がりがみられる。それに反して,高層・超高層住棟の居住者は階層が上がるほど認知領域の広がりがみられる。高層・超高層住棟の7F~22Fにおいて,超高層住棟の居住者は階層が上がるほど認知領域の広がりがみられる。高層住棟の居住者は中層・高層部の中央に認知領域の広がりがみられる(Fig.5の②-e)。③.「近隣住民」としての「まとまり」(水平面・上下階)・近隣住民(水平面)(中域):「近隣住民」の広がりの立体構成について,中層・高層・超高層住棟の1F~6Fにおいて,中層住棟の居住者は階層が下がるほど認知領域の広がりがみられる。それに反して,高層・超高層住棟の居住者は階層が上がるほど認知領域の広がりがみられる。高層・超高層住棟の7F~22Fにおいて,高層住棟の居住者は階層が上がるほど認知領域の広がりがみられ,超高層住棟の居住者は階層が下がるほど認知領域の広がりがみられる(Fig.5の③)。・上下階(立体的)の「近隣住民」の認知領域について,中層・高層・超高層住棟の1F~6Fにおいて,中層住棟の居住者は3F~5Fにおいて「近隣住民」としての「まとまり」がみられ,高層住棟の居住者は高層住棟の3F~6Fにおいて「近隣住民」としての「まとまり」がみられる。また,超高層住棟の居住者は高層住棟の4F~6Fにおいて「近隣住民」としての「まとまり」がみられる。中層・高層・超高層住棟の1F~6Fにおいて,三者は4F~6Fにおいて「近隣住民」としての「まとまり」を持つといえる。高層・超高層住棟の7F~22Fにおいて,高層住棟の居住者は高層住棟の7F~10Fにおいて「近隣住民」としての「まとまり」がみられる。超高層住棟の居住者は高層住棟の7F~10F,14F~17Fおよび20F~22Fの三ヶ所において「近隣住民」としての「まとまり」がみられる。高層・超高層住棟の7F~22Fにおいて,両者は7F~10Fにおいて「近隣住民」としての「まとまり」を持つといえる。・1F~6Fにおいて中層・高層・超高層住棟とともに,上下階(立体的)の「近隣住民」としての「まとまり」をもつ階層(4F~6F)においては,同様に「身近な水辺」,「わたしのまち」,「行動範囲」の認知領域にも広がりがみられる。・Fig.5により,住棟を街路沿いに配列した沿道囲み型住宅の中層・高層住棟は高密度,集約型のタワーマンションの超高層住棟より強い環境認知が形成している。よって,沿道囲み型住宅はタワーマンションより周辺環境へのパーミアビリティ(浸透しやすさ)及び住棟内部の上下階間のパーミアビリティ(浸透しやすさ)が強い,人と人・人と自然・人と社会の親しい環境が構成しやすい特徴が持つといえる。本研究では前掲7)−9)において集合住宅の環境認知の形成について,日常生活圏における自然環境の認知領域(「身近な緑地」,「身近な水辺」),と社会環境とのつながり(「わたしのまち」,「行動範囲」,「にぎわい」)及び「近隣住民」としてのまとまり(平面・上下階)を設定し,大川端リバーシティ21を対象とした超高層住宅の集住体における住戸の立地及び居住階による環境認知の形成について考察を行った。本稿では,以上の内容を踏まえ,中層住棟・高層住棟・超高層住棟の集合住宅の集住体における居住階よる環境認知の形成および相互関係を把握した。本稿の分析考察により,住戸階層による認知領域の形成に関して,中層住棟・高層住棟・超高層住棟の集合住宅の集住体の階層(住戸階)と周辺環境との相互の関係性を整理する事ができた。さらに,環境認知におけ

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