日本大学生産工学部 研究報告A(理工系)第52巻第1号
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─ 38 ─中央(高層住棟)右側(超高層住棟)で比較考察する。まず,「つながりの度合い」について,このつながりの度合いを階数に応じて棒グラフを作成し,各階の認知度がFig.4に示した。横軸は認知度(%)を示し,縦軸は階層を示している。この図においてグラフが住棟から住棟の中央に近づくほど,つながりの度合いが高いと考えられる。①低層部・中層住棟,高層住棟,超高層住棟において上部階層は最もつながりの度合いが強く,下部階層へ弱くなる傾向。・全体の傾向について,低層部において中層住棟,高層住棟,超高層住棟の居住階による上下階のつながりの度合いが相似の傾向がみられる。②中層・高層部・高層住棟において下部階層は最もつながりの度合いが強く,上部階層へ弱くなる。・超高層住棟において中央部と下部階層は最もつながりの度合いが強く,上部階層へ弱くなる傾向がみられる。・全体の傾向について,中層・高層部において高層住棟と超高層住棟の居住階による上下階のつながりの度合いがおおむね相似の傾向がみられる。5.まとめ中層住棟・高層住棟・超高層住棟の集合住宅の集住体における居住階よる環境認知の形成について,以下にまとめる。認知領域の階層による構成に関する分析から,中層住棟・高層住棟・超高層住棟の環境認知の立体構成をFig.5にまとめる。環境認知の立体構成を以下の通り各項目に示している。①.自然環境の認知領域:a.身近な緑地,b.身近な水辺)②.社会環境とのつながり:c.わたしのまち,d.行動範囲,e.にぎわい③.「近隣住民」としての「まとまり」(水平面・上下階)①.自然環境の認知領域(a.身近な緑地,b.身近な水辺)a.身近な緑地(狭域):中層・高層・超高層住棟ともに他の項目と比べ,比較的に住棟と連続した関係を持ちつつ,最も狭い領域を形成している。認知領域の立体構成は,中層・高層・超高層住棟の1F~6Fにおいて,中層住棟の居住者は階層が下がるほど認知領域の広がりがみられる。それに反して,高層・超高層住棟の居住者は階層が上がるほど認知領域の広がりがみられる。高層・超高層住棟の7F~22Fにおいて,高層・超高層住Fig.5 Three-dimensional composition in the existing area of environmental cognition

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