日本大学生産工学部 研究報告A(理工系)第52巻第1号
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─ 34 ─を把握した1)−3)。また,幕張ベイタウンを対象とした高さの異なる集住体における,居住者の認知特性と配置計画との構成を把握し,計画手法の研究を行った4)−6)。そして,居住者の居住階と住戸の立地に着目し,超高層住宅の集住体における住戸の立地及び居住階よる環境認知の形成を把握した7),8)。本研究では,これまでの成果をふまえ,場所が異なる集合住宅の集住体における居住階による環境認知の形成について,自然環境の認知領域(「身近な緑地」,「身近な水辺」),と社会環境とのつながり(「わたしのまち」,「行動範囲」,「にぎわい」)及び「近隣住民」としてのまとまり(平面・上下階)の認知を設定し,調査を行う。そして,各項目間の相互の分析により中層・高層・超高層集合住宅の集住体における居住階層による環境認知の形成についての考察を行う。本稿は,日本建築学会計画系論文集 第83巻 第751号,pp.1737-1746,において掲載した内容に新たな対象地域を加え,作成したものである。2.調査対象地域と分析方法2.1 調査対象地域幕張ベイタウンおよび大川端リバーシティ21を調査対象地域とした(Fig.1, 2 Table1, 2)。大川端リバーシティ21は「大川端リバーシティ21開発事業」の整備計画を基づき,東京ウォーターフロント開発の先駆とされる「都心定住型住宅」のモデル的存在と言える。1980年から構想し,1989年に入居が開始された。30階以上の超高層住宅が7棟あり,中・低層住宅を含め約4,000戸の集合住宅がある。隅田川沿いに広い公園緑地を配置されている。一方,幕張ベイタウンは(旧)千葉県企業庁が建設した幕張新都心の住宅地区である。1989年幕張新都心住宅地基本計画で住棟を街路沿いに配列した「沿道囲み型住宅」を提案され,その後都市デザインガイドラインで設計指針が定められた。街区単位で中層,高層,超高層それぞれのガイドラインに基づく設計と調整を経て住宅地全体に展開している。1995年3月に入居が開始された。また,両地域は同様に同一平面計画の積層であり,地域内外における商業地,緑地,水辺,公益施設など多くの要素によって一つの都市として形成されている。本研究が着目している居住者の居住階を起因とする認知特性を把握する上で適していると言える。Fig.2 Arrangement plan of Research Area-Makuhari BaytownTable1 Overview of examinee-Okawabata River City 21Table2 Overview of examinee-Makuhari Baytown

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