日本大学生産工学部 研究報告A(理工系)第52巻第1号
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─ 33 ─1.はじめに集合住宅の計画は,近代都市理論の中心概念である高層化・標準化計画による供給中心の計画が行われてきた。地域空間の特性を創出する視点よりとらえた場合,地域住民を主体とした部分(住戸)と全体(周辺環境)との対応関係による包括的な人と人との関係性や自然環境との関係性に関する分析・研究は重要であると考えられる。現在,集合住宅は短期間に周辺地域を含めた人口変化をもたらし,その物理的な大きさから地域景観までにも変化を与えていると考えられ,集合住宅の計画は都市・地域計画においても重要な課題の一つと言える。集合住宅において人と人,人と物理的環境(自然,社会)の関係性は,平面的なつながりから重層的に意識が重なることからも立体的な居住環境へと移り変わる可能性を持つと言える。本来,居住環境とは単体の住居のみではなく,日常生活を営む周辺地域を含むと考えられる。この点から居住者の意識について居住者が暮らす地域空間との関係性において複数の集合住宅群と周辺環境との関係性をふまえる。これらを集住体注1)としてとらえ,地域空間との関連性も含め考察する事が必要であると考えられる。筆者らは,これまで大川端リバーシティ21を対象とした周辺環境と居住者の環境認知との関係性について考察した。ここでは,居住階の変化に伴う認知領域の面積の傾向を示す近似曲線の変節点,変位階層注2)を求め,これらについて居住階層に起因する認知特性について考察することで,超高層の集住体における環境認知の形成資  料日本大学生産工学部研究報告A2019年 6 月 第 52 巻 第 1 号中層・高層・超高層集合住宅の集住体における 居住階による環境認知の形成について宗 士淳*,大内宏友**Study on Formation of Environmental Recognition by the Residential Floor in Collective Housing of middle-rise, high-rise and super high-rise apartment housesShichun ZONG*,Hirotomo OHUCHI**Keywords:Cognition Region, Apartment and Condominium Complexes, Environmental Recognition, Residential Floor, Urban Dwelling *日本大学大学院生産工学研究科建築工学専攻博士後期課程2年**日本大学生産工学部建築工学科教授Fig.1 Arrangement plan of Research Area-Okawabata River City 21

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