日本大学生産工学部 研究報告A(理工系)第52巻第1号
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─ 28 ─るのかを明らかにするためにFA内の成分を調べた。まず,FAの化学組成を蛍光X線分析で定量し,粉末X線分析-リートベルト法で結晶質組成である石英(クォーツ)とムライト,マグネタイトの定量を行った。FAの化学組成から結晶質組成を差し引くことにより,FAのみでの成分中のガラス質組成を算出しTable4に示した。さらに,Table4のガラス質組成の合計値を横軸に1ヵ月の圧縮強度を縦軸にしたグラフをFig.4に示した。Fig.4の近似曲線の決定係数R2は0.379と低かった。このグラフを起点にさらに考察を加えた。3.5 ガラス質部分の反応性の考え方ポゾラン反応は,ガラス状のシリカ[SiO2]がセメントの水和反応によって生成される水酸化カルシウム[Ca(OH)2]と徐々にポゾラン反応を生じて強度を増進していく。FAのガラス質の反応性はAl2O2やCaOによってそのガラス化状態が異なる。FAの強度増進の仕組みとしては,Fig.5のようなSiO2の複雑な構造であり2次元から3次元の連鎖を形成している。その連鎖をFig.6のようなCaなどのアルカリ性元素が切断し細かくすることで反応性の向上つまり強度増進につながっている。そのためこれまでのSiO2やCaOなどだけで強度とTable 4 Glassy Composition of FA (mass%).Glassy compositionFA1FA2FA3FA4FA5FA6FA7CaO4.614.574.402.581.614.382.62SiO242.1442.6041.9443.4743.2237.3441.80Al2O315.9415.1814.1510.8210.6114.349.95Fe2O34.494.393.903.703.237.583.60MgO1.841.591.161.000.842.491.01Na2O0.510.511.240.550.420.910.33K2O1.010.931.331.421.502.101.31Other2.922.853.532.072.932.612.63Total73.4672.6271.6565.6364.3671.7563.24y = 38.044x + 18.286R² = 0.379404550550.60.650.70.75CompressiveStrength[N/mm]MassofGlassyComposition[-]Fig. 4 Relationship between Compressive Strength of One Month Age and Glassy Composition.Fig. 5 Pattern Diagram of FA Before Reaction6).Fig. 6 Pattern Diagram of FA After Reaction7).

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