日本大学生産工学部 研究報告A(理工系)第52巻第1号
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─ 27 ─3.試験結果および考察3.1 FA置換による圧縮強度の上昇推移本研究ではモルタルを水中養生し,材齢が1ヵ月と3ヵ月になったものを圧縮試験機で測定した。その結果をFig.1に示す。FAが未混入の供試体をFA0,各FAを25%置換させたものをFA1~7とした。その結果,材齢1ヵ月での強度はFA0が最も高くFA1~7はそれを下回った。しかし,材齢3ヵ月での強度では,FA1,FA5,FA6はFA0を上回り,他のFAモルタルも大きく上昇しFA0に近い強度となった。材齢1ヵ月ではポゾラン反応の途中であると考えられ,サンプル間に強度差があるが,3ヵ月材齢になるとポゾラン反応もほぼ落ち着いてしまうためか強度の差が小さくなっていた。3.2 ガラス質組成と圧縮強度の関係FAの構造には結晶質とガラス質があり,ガラス質組成が多いほど強度は高いと一般に言われている。Fig.2に示す通り,両者には関係性はなさそうであるがさらに化学成分まで詳しく考察することで関係性の有無について判断していくこととした。この点に関しては後述の3.5以降で詳細に考察する。なお,ガラス質成分の定量に関しては,後述の3.4で詳しく述べる。3.3 活性度指数の確認活性度指数は,通常のモルタル(FA0)を基準とし,FA混合モルタル(FA1~7)との圧縮強度の比を百分率で表したものである5)。活性度指数の値はJIS A 6201で規定されており,FAⅡ種において材齢28日では80%以上,91日以上では90%以上とされている。この活性度指数の計算方法は以下の通りである。A=C2/C1×100A:活性度指数[%]C1:基準モルタルの圧縮強度[N/mm2]C2:FAモルタルの圧縮強度[N/mm2]上記の数式から各FAの活性度指数を求めた。その結果をFig.3に示した。材齢1ヵ月および3ヵ月において全ての供試体が規定を満たすことが確認できた。このことより,全てのFAが十分な強度発現することを示している。なお,3.2で記述した通り,本実験では供試体の型枠にJIS R 5201準拠のφ50×100mmの円柱型枠を使用しているため,型枠の直径/高さ比がJIS A 6201とは異なる。本研究では材齢3ヵ月で活性度指数が100%を超えていないFAもあるが,JIS A 6201による外部試験では100%以上の結果が得られていることを注記しておく。3.4 ガラス質組成の算出FAの化学組成は結晶質とガラス質に分かれており,結晶質が約30%,ガラス質が約70%含まれている。その中で反応に寄与するのはガラス質であると言われている。そこでガラス質組成内の何が強度増進に関係してい010203040506070809010035404550FA1FA2FA3FA4FA5FA6FA7Mass of Glassy ComposionCompressive Strength[N/mm2]Fig. 2 Relationship between Glassy Composition and Compressive Strength of One Month Age.01020304050607080FA0FA1FA2FA3FA4FA5FA6FA7CompressiveStrength[N/mm2]One monthThree monthFig. 1 Compressive Strength of Mortar.020406080100120FA1FA2FA3FA4FA5FA6FA7AvtivityIndex[]One monthThree monthFig. 3 Activity Index of FA Mortar.

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