日本大学生産工学部 研究報告A(理工系)第52巻第1号
17/58

─ 15 ─に持った叩き手が別にもう一人いる。ゴングは1か所で吊っている。いずれも,軍隊の行進に伴う軍楽隊として描かれている。5.2.4 第一回廊北壁面西側浮彫Fig.13から15に,北壁面西側に描かれている浮彫を示す。上述したように,ここは1546年から1564年の間にアン・チャン一世が薄肉浮彫を刻ませたところである。やはり,ゴングを棒に吊って二人で肩に担ぎ,桴を両手に持った叩き手が別にもう一人いる。ゴングは1箇所で吊っている。しかしながら,Fig.14は,ゴングだけでなく,両面太鼓と一緒に演奏されていることがわかる。また,Fig.15では,ゴングと共に半鐘も描かれており,さらに縦笛と一緒に演奏しているところが描かれている。このことから,16世紀中ごろには,軍楽隊でも合奏するようになり,太鼓などのリズム楽器だけでなく,縦笛などのメロディ楽器も一緒に演奏していたことがわかる。5.2.5 第一回廊北壁面東側浮彫Fig16から25に,北壁面東側に描かれている浮彫を示す。Fig.16によれば,フラット・ゴングが縦笛や両面太鼓などと一緒に演奏されている。やはり,ゴングを棒に吊って二人で肩に担ぎ,桴を両手に持った叩き手が別にもう一人いる。Fig.16 Flat Gong, Aerophone and Drum on east side of north wallFig.17には,ゴングが角笛と思われるラッパ状の笛と共に描かれている。表面が摩耗しているので,ゴングはフラット・ゴングかコブ付ゴングか判別できない。やはり,ゴングを棒に吊って二人で肩に担ぎ,桴を片手に持った叩き手が別にもう一人いる。Fig.17 Gong and Horn on east side of north wallFig18には,コブ付ゴングが両面太鼓と共に描かれている。これによると,ゴングを棒に吊って二人で肩に担いでいるが,桴を持った叩き手がいない。おそらく,後Fig.12 Flat Gong on west side of south wallFig.13 Flat Gongs on west side of north wallFig.14 Flat Gong and Drums on west side of north wallFig.15 Flat Gong, Aerophone and Bell on west side of north wall

元のページ  ../index.html#17

このブックを見る