環境保全に役立つ技術とサステイナブルな有機先端材料の開発

プロジェクトリーダー 教授 平田 光男

 製品や製法の開発,使用,廃棄,リサイクルを総合的に考え,人の健康と生態系への悪影響を低減する経済的で合理的な化学技術を開発することを目的とした“Green Chemistry”のコンセプトに基づき,本プロジェクトでは環境保全に役立つ技術とサステイナブルな有機先端材料の開発を進める。具体的には,環境保全の材料の開発,有機系廃液物の有効利用,環境汚染物質の分析からなる。すなわち,高分子物質への酵素固定化により温和な反応条件で生体外で高効率な反応を反復して行う材料,また,機能原子団を結合させて従来にない長期間にわたる機能性維持材料を開発する。これにより反復・再利用が可能な反応システム並びにバイオリアクターの構築,さらには環境にやさしい反応プロセスを実現する。有機系廃液中の有害または有益物質の分離を安価,高効率で行う分離技術を中心に行い,さらに有機廃液の資源化技術の開発を目指す。これは環境浄化と省エネルギーと資源の回収に寄与し,廃棄処理産業と新規なバイオ産業との連合によるバイオプラント産業の育成につながる。外部因子によって溶質保持機構が変化する機能性有機材料を使用する高速液体クロマトグラフィ(HPLC)システムの開発とその環境汚染物質の分析への応用,放射性廃棄物などからのα-放出核が生体内に入った場合の蓄積と分布の分析法を開発する。

研究テーマ

● ポリエチレン(PE),ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)のヒドロゲル化と酵素の固定
● 高分子−タンパク質複合体の酵素活性
● 結晶場および種々の不斉場の利用による選択的合成
● 環境調和型反応プロセス構築のための機能物質の設計
● 情報表示素子および可逆メモリ素子の開発
● 有機系廃液の資源化技術
● ヒドロゲル膜による環境中の物質分離と特定金属イオンの抽出・濃縮
● 有機系飛跡検出器を用いた生体内ドシメトリー技術の開発
● 機能性有機物質を用いる高選択的分離分析システムの開発とその環境汚染物質分析への応用
● 未利用資源を利用する環境試料中の微量金属元素の高感度モニタリング法の開発



液体クロマトグラフ質量分析装置【平面図D】


分光エリプソメータ【平面図E】



高分解能FAB質量分析計【平面図F】


ピコ秒蛍光寿命測定装置【平面図G】