ヘルスモニタリング技術による先端材料と構造の社会的環境保全とライフサイクルアセスメント(LCA)の確立

プロジェクトリーダー 教授 邉 吾一

 近年,大地震による高速道路やビルなど構造物の破壊,鉄筋コンクリートトンネルの内壁の崩落,長期間使用された航空機の破損などにより多くの人的・物的被害が生じ,社会的に問題となっている。

 本プロジェクトで実施するヘルスモニタリング技術による経年構造の強度予測は,航空機,橋梁,トンネル,容器構造物など保守点検の困難な各種経年構造物に突風,地震などの衝撃荷重が作用した場合,それら構造物の継続使用における安全性の解明に貢献する。さらに,ヘルスモニタリング技術の開発は,経年構造物と材料の耐久性および寿命を予測する経済的で信頼性の高い手法を提案することになり,これら構造物と材料の破壊を未然に防ぎ,社会環境保全を確立することにつながる。また,環境負荷低減のために長期使用を前提とし,リサイクル性と経年変化特性に優れた先端構造材料の開発を行う。そして構造物や製品の設計時にそれらの生涯評価(LCA)を行いながら設計を行う手法を確立することは省資源・省エネルギーなどの観点から社会の発展に大きく貢献することになり,本プロジェクトの研究成果がもたらす社会的インパクトは極めて大きい。

研究テーマ

● FRP容器構造の耐震強度の解明と免震構造の最適設計手法の確立
● 鉄筋コンクリート部材および偏心接合を用いた鋼管構造の疲労強度の解明
● 経年に伴うFRPとコンクリートの劣化機構の解明
● 溶接構造用アルミニウム合金および粉末冶金法による高強度軽金属材料の開発
● 摩擦圧接継手の疲労強度の解明
● 摩擦肉盛法による金属材料の表面改質技術の開発
● 弾性波および打撃音による経年構造のヘルスモニタリング技術の開発
● 渦流探傷および電磁誘導式電位差法による亀裂の測定法の開発
● リサイクル鉄鋼材料のトランプエレメントの影響評価
● 経年構造材料のデータベース化とLCA手法の開発


先端材料耐候性試験装置の一部 フィラメントワインディング装置【平面図@】



走行振動試験装置【平面図A】



結晶組織解析装置(全自動X線回析装置)【平面図B



先端材料高温疲労強度試験装置の一部 セムサーボパルサ【平面図C】